思考囲い

ブログをひとつ対象とする。@agul7749 は長文やクソデッキ案などのTwitterよりブログ媒体の方が適切な話題を置く。あなたはライフを2点失う。

仮面ライダーバールクスとOver Quartzerを観たよって話

ジオウの映画を観たのでこのテンションが続いてるうちに感想とか書きます。


私はクウガに魅了された幼稚園時代に始まり、一度は離れるも中学でRX推しの友人Oくんのせいでオーズから復帰し、高校で隣の席のライダーオタと毎週月曜にニチアサの感想を言い合ったり大学の特オタとベルト担いで岩舟山観光に行ったりしながら今に至る 、残念ながらまごうことなき仮面ライダーのオタクです。

ただ最近特撮のモチベも下がっており、ジオウ本編もレジェンド見たさに観てるものの、ライダーファン以外や子供達にとって面白いのだろうか?と懐疑的であり、今回の映画も金無いし他に観たいのあるしジャーかなあとか思っていました。

ただ推しライダーであるマッハ=詩島剛が客演すること、そしてTwitterのオタクにライダーファンなら行くべきと言われ、このまま悩みながらバレ踏んで終わるのも悔しいのもあり行くことに。

 

結果観た感想としては、観てよかった。平ジェネと違ってパンピーには絶対に勧められないけれど、仮面ライダーのオタクである自分にとっては、自分がライダーのオタクでからあるこそ響く怪作でした。

 

単純な単体のライダーヒーロー映画としては正直全然ダメだと思うんですけど多分この作品のターゲットは子供でも一般人でもなく我々仮面ライダーを楽しんできたオタクなんだろうと思います。

 

本編の話や客演は散々色んな人が感想を言ってるので置いといて、一番話したいのはなんと言っても仮面ライダーバールクス。

「お前たちの平成って醜くないか?」平成ライダーは設定がバラバラだし色々めちゃくちゃで美しくないのでやり直して綺麗にするなどととんでもないメタい理由でジオウを狙う本作のラスボス常盤SOUGO(以下ISSA)が変身するのが仮面ライダーバールクス。使うウォッチはRX、バイオ、ロボライダー、見た目は黒いボディの上に深緑の胴に真っ赤な目、名前はBLACKRXのアナグラムと、真正面からRXをモチーフににした仮面ライダーです。

こいつめっちゃメタいこと言いよるな~とかRXリスペクトすごいな~とか思ってるうちにあることに気付きました。

 

「あっ!こいつ小沢じゃん!(さっき言った中学のころ俺をライダーに復帰させたOくんのこと)

 

Oくんは俺と同い年のはずなのに昭和ライダー懐古厨で、数年前会ってエグゼイド(完結直前くらいのころ?)の話をしたら最近のライダーは見た目が終わってる、ありえない。カス。観るまでもない。と内容も観てないのに全否定。そして、至高はRX。最強。不思議なことが起こった!で全部解決できるしバイオ液状化は無敵。よって最強。みたいなことを言ってました。(そういえばバールクスもバイオ液状化無敵してましたね)

彼いいやつなのにこういうところだけは大っ嫌いで懐古厨マジクソだな...となってました。

確かに昭和ライダーは強いしカッコいいかもしれないけど現行ライダーだって魅力的だし何より今俺が楽しんでいるものを目の前でdisらないでくれ!

そんな人、皆さんもどこかで見たことがあるのではないでしょうか。特撮に関わらず。

そんなやつにそっくりなやつが出てきました。俺はこいつを知っている。

そんなISSA=バールクスですが、どこまでいってもRXモチーフでリスペクトなんですよ。すげえのなんの。

 まず手を上に掲げてから真っ直ぐ降ろしてくる変身ポーズからしてRXのそれにそっくり。戦闘においても刀身の光る剣を使い、飛び掛かり突きのアングルとポーズはRXと酷似し、剣を振るう音はどこかで聞いたSE。あまつさえ剣はベルトから取り出し横からのベルトのアップのカメラワークにとうとう言いやがった「リボルケイン!」

最後ウォズにリボルケインを刺して殺したのは例の火花が散るリボルクラッシュ演出したいがためじゃねえかな。リボルクラッシュはRX自身からリボルケイン伝いに過剰なエネルギーを送り込んで爆散ささせる技だから刺さっただけで爆発しなかったし。

そう。こいつ、RXが大好きなのである。誰よりもRXを愛している。RX詳しいからこそロボライダーの力使わなかったんじゃねえかな(性能が微妙なため)

ロボライダーのウォッチでロボライダー感のない雑なミサイル攻撃(一応ホーミング的なロボライダー要素はあるが)したゾンジズや、マジでアマゾンズ要素の無かったザモナスとは比にならない。

レディ・プレイヤー1のメカゴジ社長とダイトウのガンダムの対比みたいな。メカゴジ社長はメカゴジ全然知らんし愛着ないけど強いんでしょくらいの認識でしかなくスペックを全然活かせてなかったから圧倒できる性能があったのにダイトウガンダムに押されかけてた的考察あったよね。あんなかんじ。

とことん平成アンチのISSAだったが、指の先までRXリスペクトに徹した彼の姿には彼の仮面ライダーとRXへの深い思いを感じざるを得なかった。好きじゃなきゃあそこまで完璧にこなせない。きっと彼は幼いころ放映していたBLACKやRXに夢中になりその姿に憧れ、ヒーローとはかくあるべきと見出し、だからこそ今の商業主義的な側面が否定できない平成ライダーたちに憎しみを抱いたんだろうし、ふざけたパロディで仮面ライダーというヒーローを穢したノリダーをひっとらえて投獄してたんだろうな...(ちなみに筆者はノリダー大好きです。)

 

Oくんもこんな気持ちだったのかもしれない。愛ゆえに、変化に耐えられず固執し、ひっくり返てしまったのかもしれない。

そしてその気持ちは自分もわかる。前述の通りジオウの作り方に懐疑的であった自分はいるし、それはクウガをはじめとする私が憧れ、自分のヒーロー観の構築に寄与したであろうライダーたちへの愛から来るものである。

ライジングアルティメットに対し、ライジングの力はそもそも電気ショックの影響でアルティメットの力が漏れ出したものであるのでアルティメットの上にライジングが被さるのは設定的に破綻してるがエアプか?とかお前のオリジナルフォーム、醜くないか?と言う自分がいることも思い出しました。

きっとみんなの中にもそんな人たちがいるだろう。春映画のガバガバさにキレたり雑なギャグにキレたり。バールクスは俺らなんだ。

 

だから私にはバールクスをそうしても他人事で単なるふざけた悪役と割り切ることができず、わかるからこそそれは良くないものであるというのもわかるし、その気持ちはどうすればいいのかわからないのだ。

そしてラスト。ブレン、G、ゴライダー、カチドキ斬月、漫画クウガとこんなんオタクしか把握してねえんだよなっていうライダーの顕現、J巨大化の春映画セルフオマージュとオタクにしか伝わらんだろうってネタでさんざんふざけ倒した最後、懐古厨の厄介ライダーオタクのバールクスに対し、凸凹であるのはその時代ごとの色んなしがらみに苦しみながらもその中で最大限を取ってきた瞬間の煌めきの連続が平成ライダーの歴史であると叫び、各ライダーのバラバラなフォントのタイトルロゴとバラバラな足跡を並べた20周年ロゴで自分の中の過去のライダーに固執したバールクスを粉砕。彼らの足跡はバラバラだったがどれも今となっては美しく、瞬間瞬間を必死で生きる姿もまた平成ライダーの魅力であると開き直り主張され、抱いていたマイナスな気持ちと折り合いをつけ現行ライダーを楽しめる見方をもらえたような気がした。

ありがとう仮面ライダージオウ。これからの怒涛の展開、全力で楽しませてもらうぜ。

そしてありがとうバールクス。俺はお前ほど気持ちがわかる悪役は他にいないかもしれないし、お前のことを俺は忘れないだろう。フォーエバーバールクス。グッバイ平成。