思考囲い

ブログをひとつ対象とする。@agul7749 は長文やクソデッキ案などのTwitterよりブログ媒体の方が適切な話題を置く。あなたはライフを2点失う。

劇場版ウルトラマンR/B の話(ネタバレ有)

劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル を観てきました。極端に良かった点と悪かった点が印象強かったので偉そうに批評します。こういう文章140字だと誤解まみれになりそうだからこれ開設しておいてよかったなって思いますね...

 

 

 

わるかったところ

1.ジードの扱い

朝倉リク=ウルトラマンジードの扱いがあまり良いものでなかったのが残念であった。

今までのNG映画の前作主人公はダブル主人公的な、たとえばガイならばリクを導く先輩としてのジードの物語のサブキャラとしての役割だけでなく、ジャグラーとの邂逅、共闘を通じたオーブ自身の物語も描かれていた。Xももちろん、大地とXでしか成立しえない物語になっていた。のだが今作は本筋に関しては別にリク=ジードじゃなくても、というか単純に最初ロッソがビルに刺さっている間ブルと共闘し、最期のトレギア&スネークダークネスvsグルーブのときに2vs2ができる味方が欲しかったからあてがっただけに見える。

なんかもうトレギアに説教をしにチェレーザ=オーブダークが復活して共闘とかした方が説得力あったんじゃないかなって思っちゃいました。

朝倉リク推しなのでちょっと残念でした。

 2.トレギア、誰?

ウルトラマントレギアについて得られた情報が、悪いやつであること、人間をそそのかして夢を弄ぶこと、超強いこと、ベリアルみたいな長期的な悪役である(っぽい)こと、cv.内田雄馬であることくらいしかわからなかった。誇張抜きにそれ以外のことが言及されてないのでどうしようもない。

素性や今回の計画の動機すら全く説明されなかったせいで正直何も魅力を感じなかった。トレギアは次回以降も出るっぽい感じだったのでそれに期待します。

3.戸井の改心の過程

戸井はもともと夢とそこからくる心の弱さに付け込まれて悪に堕ちてしまったはずだったのに、結局戦闘中と改心は家族の絆の問題にすり替えられていた。夢の問題に関しては最後に取ってつけたようにボールを渡されただけであり、戸井と母親の関係は、まあ一般的に想像する引きこもりと甘い母親みたいなかんじで、カツミと戸井の夢を巡る問題を強調する描写程度にしか見えなかった。本題はどこいったの?

4.家族の絆(物理)

3に関連するかもしれない。戦闘中、これが家族の絆だ!って100000000回くらい言ってたんだけど、今回具体的な湊家の家族の絆が示されてたのは宇宙に放られたカツミを捜索するところくらい。あとはなんとなく兄妹3人でグルーブになってこれが家族の絆の力だ!(物理攻撃)って言ってただけだった。遊戯王ARCVの「笑顔」と同じ臭いがしてしまった。もちろん本編と地続きになっているのは承知だしそっちに一任しているのかもしれないが、そっちに頼りすぎているのが良いこととは思えないしだいぶ間が空いてしまってその辺の記憶がそこまで強くないことを加味するべきであるのと、本編で描かれていた家族の絆とグルーブの攻撃はそんな関係ないんじゃないかなと思いました。

 

よかったところ

1.リクとアサヒ

あまりにもちょこっとなのと、この作品のメインストーリーは湊カツミと夢の問題であるように見えたため、わるいところ1には、その本筋にはリクの意味は無いという書き方をしました。

最初リクが湊家に招かれ縁側でアサヒと話をするシーン、本当の家族ではないアサヒに対して家族の絆について話ができるのは、憎んでいた最低最悪の父を許し、それだけでなく映画で家族以上の絆を知ったリクだけであり、アサヒの気持ちの補強と再確認となった。それにより兄に護られるだけでなくジャイロでグルジオとしていっしょに立ち向かう流れは納得だった。

2.アサヒとツルちゃんとグリージョ

事前情報でアサヒがウルトラマン(ウーマンであるが便宜上)に変身すると聞いた時、どういう力で変身するんだろう?ってなってたんですけどそもそもロッソとブルはツルちゃんの兄二人であったので、逆説的にツルちゃんもウルトラマンの力があっ多と考えてもおかしくないという発想は自分の中に全く無く、そりゃそうじゃん!!!!!って叫んでしまった(心の中で)。先ほどのリクによってツルちゃんのジャイロで変身→ツルちゃんのジャイロだからツルちゃんの力と残留思念が残っているからウルトラマンになれる、という流れはめっちゃ綺麗だと思いました。これでようやっとツルちゃんはお兄さんたちと同じところに行けたんだなって.......

3.湊カツミとウルトラマンの話

ハッキリとした描かれ方はされていなかったが、助けたピグモンが今度は水を恵んで助けてくれ、友情が芽生えていた。それが彼のウルトラマンの力の意味であり正義なんだろうなって。あえて言葉で明言されず、別れ際のカツミの表情だけで全て理解させるのは最高~~~~~~~ってなってました。

ほんへでもウルトラマンとしての大きな正義よりもこの町を、家族を護るために力を使うことを選んだのが湊兄弟だったよね。

4.CG特撮

ここまでうだうだ書いてきたけど正直これを書きたいがために書いてきた。

間違いなく2019年現在時点でのCG特撮アクションで1番の出来であると断言できる。

元より円谷英二は、ハワイ・マレー沖海戦でのリアルすぎる映像のせいで政府に極秘情報のリークを疑われた逸話(出典忘れた)に始まり、独自のスーツ特撮、当時最先端の光学合成等を利用した特撮映画の金字塔、ゴジラ、怪獣映画のスケールを毎週お茶の間に提供したウルトラシリーズなど、映像表現をストイックに探究し、技術革新を起こし続けてきたのは言うまでもない。

その死後も魂を受け継いだ円谷プロの作品は、CGを取り入れた新世代のティガ、大ヒットにも拘らず撮影費がかさみすぎて大赤字だったガイア、フルCGの空中戦で度肝を抜いたULTRAMAN(映画)、ミニチュアが作れないならミニチュアにしかみえないCGを作ればいいじゃない、とは田口監督の談(怪獣ラジオより)、同じ光線を全話違う構図で描くなど表現に挑戦し続けたウルトラマンXなど、常に映像技術を更新し続けてきた。その円谷の映像表現の2019年における集大成が、この劇場版ウルトラマンR/Bのジード&グルーブvsトレギア&スネークダークネス戦である。

ウルトラマングルーブは全編フルCGで描かれており(最後にジードと握手するシーン、ジード側を映して手だけが見切れているシーンだけは実写だったと思う。たぶん)、そのCGの出来についてはCMやPVの映像の通りである。ちなみにスーツは皺まで再現されており、やばい。

そしてジードとスネークダークネスは完全にスーツのみ(たぶん)、トレギアはCGと実写両方が用意されていた。

最初のトレギアとグルーブのフルCG空中戦は期待通り素晴らしい出来...と思いきや、戦闘とウシオの乗った車(もちろん実写)が絡むシーンでの、CGと実写の差異による違和感を全くと言っていいほど感じなかったのだ。え?これCGだよね?二度見してしまった。そしてトドメはグルーブが吹き飛ばされてビルを貫通するシーン。ビルを貫通するグルーブは確実にCGであり、背景のビルと爆破は実写であるのに違和感を何一つ感じなかったのだ。どれが実写でどれがCGなのか全く分からなかった。度肝を抜かれた、という表現をするしかない。

その後スーツのスネークダークネスをCGのグルーブが殴る、掴む。いや実際に掴んでるよね?どっちかが実写でどっちかがCGって嘘だろ?

純粋な映像技術でこんな衝撃を受けたのは初めてだった。初めてULTRAMNの空中戦を観た時よりも強い衝撃だった。

世界よ、これが日本の、円谷プロの特撮だ。そう言える出来だった。この映像技術を食らうためだけのためでもこの映画を観る価値はあるであろう。本当に素晴らしかった。俺が愛し続けた円谷はハードルのはるか上をゆうに飛び越えてくれた。

 

というわけで劇場版ウルトラマンR/Bの感想でした。

次回のウルトラシリーズもさらなる飛躍を楽しみにしています。